シネ・ヌーヴォ

現在、大阪市西区九条の映画館「シネ・ヌーヴォ」にて、『幻想と詩とエロチシズムの寺山修司◉映像詩展』が開催されているそうです。今年は、寺山修司さんの没後30年なので、様々な企画が催されていて、個人的には嬉しい限りです。

 

さて、シネ・ヌーヴォといえば、最近、シネ・ヌーヴォと入居するマンションの住民との間の紛争が朝日新聞の記事に取り上げられました。twitterでも話題となり、まとめも作られています。

新聞記事によれば、シネ・ヌーヴォが賃借している建物がマンションで、そのマンションの住民らが、シネ・ヌーヴォに対して、日活ロマンポルノ等の成人映画の上映の中止を求めているそうです。朝日新聞の記事を引用すると、住民側の論理は、

成人映画は子どもを育てる居住者に嫌悪感を抱かせる

→その結果、建物の資産価値が下がる

→所有者の共同利益に反する行為を禁じる「区分所有法」に違反する

 とのことです。

 

この記事の内容からすると、マンションの住民側が、シネ・ヌーヴォによる日活ロマンポルノの上映が区分所有法6条1項の「区分所有者の共同の利益に反する行為」にあたるとして、日活ロマンポルノのような成人映画の上映行為の差止請求(区分所有法57条1項)を行っているものと考えられます。区分所有者の共同の利益に反する行為にあたるとされた裁判例としては、マンション内での風俗営業、カラオケスタジオの夜間営業、託児所の営業のようなものがあります(上記の例にあたるもの全てが、必ず区分所有法に違反する行為にあたるというわけではないので要注意)。

 

本件は、住民側の区分所有者としての利益と、シネ・ヌーヴォ側の営業の自由が対立する問題ですが、間接的には映画についての表現の自由の制約となりうる事案だと思います。いろいろな対立利益が絡んで、難しい問題ですね。シネ・ヌーヴォは、成人映画の上映にあたって、18歳未満の入場を禁止するなどしたうえで、ゾーニングを掛け、観たくない人の目には触れないようにしているわけですが、住民らにとっては、自分の住むマンションで成人映画が上映されるという事実自体が、区分所有者の共同の利益に反すると考えているようです。あくまで、新聞記事で述べられている事実関係のみを前提とした個人的な意見ですが、映画館の外に成人映画のポスターを掲示するのを止めろというのはまだしも、成人映画の上映自体を全て中止しろというのは少し行き過ぎなのではないかなと思っています。今後、本件がどのように展開していくのか、個人的に非常に興味を持っています。