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パラード 2015.03.05

 ザ・なつやすみバンドの2ndが発売されました。

1stも傑作だったけど、今回の2ndはさらにすごいことになってますね。メジャーレーベルに移っての第一弾。これから、どんどん快進撃していって欲しいです。

それにしても、音楽なんてもう飽和状態で、新しい音楽は奇をてらったようなフォーマットのものしかありえないみたいなことを、ふと思うようなこともありましたけど、全くもってそんなことはないですね。わかったような顔をして、少しでもそんなことを思ってた自分が恥ずかしいです。ポップ・ミュージックのマナーも踏襲しながらも、こんなに聴いたことのないメロディー、聴いたことのないサウンドを届けてくれるなんて!

ライブでお馴染みの曲や、シングルで聴きこんだ曲もたくさんあるのですが、このアルバムの流れで聴くと違った一面が見られるので、アルバムを通して聴くのがおすすめです。アルバムというフォーマットはあまり意味がなくなっているなんて言われることもありますけど、そんなこともないのも良くわかりました。

MVにもなっているアルバムのタイトル曲、自分の好きな音楽の要素が全部つまっている気がしてしまいます。そんな大好きな曲なのに、このアルバムを購入するまで、アルバムタイトルが「パラード」ではなく「バラード」だと思い込んでいたのは、この私です。。。

こういう音楽にまだまだ出会えるんだと思うと、世の中には不愉快なできごとがたくさんありますけど、少しでも長生きしないともったいないなーと思えますね。こういうふうに思える自分は幸せだなーと感じながら、今日もまた『パラード』を再生するのです。


ザ・なつやすみバンド - 「パラード」 Music Video - YouTube

パラード

パラード

 

 

MacBook AirでWindows 8.1を走らせる。 2015.02.28

今年の初めに、ずっと愛用していたLet's Noteが不慮の事故により壊れてしまったので、新しいモバイルのPCとして、MacBook Airを購入しました。

Let's Noteに特に不満はなかったのですが、何となく目先を変えてみたいと思い、今回は、MacBook Airにしてみました。

購入にあたっては、chromebookの購入も検討しましたが、オフラインの環境で仕事をすることも多いため、モバイルとして使うのは適していないと思い、購入を見送りました。

仕事上、Microsoft Officeの利用は必須だったので、MacBook AirWindowsを利用できるようにするために、Parallels Desktop 10 for Macというソフトを入れています。このソフトは、Mac上で仮想でWindowsを走らせることができるソフトです。

Parallels Desktop 10 for Mac Retail Box JP

Parallels Desktop 10 for Mac Retail Box JP

 

 Parallels Desktop 10 for Macをインストールした上で、Windows 8.1を入れ、さらに、Microsoft Office 365 soloを導入しています。*1

Windowsを入れたMacBook Airを使い初めてから、もうそろそろ2ヶ月になるのですが、今のところ、非常に快適です。1つのマシンでMacWindowsの両方を同時に*2使えるというのは、意外と便利なものです。

自分は文章を書く前にその構成をtree2というアウトラインプロセッサで考えることがあるのですが、このソフトはMac版しかないので、このソフトを使いつつ、Wordに流し込むということが1台でできるのは魅力です。ちなみに、Mac用のMicrosoft Officeもありますが、これで作ったファイルは、Win機のPCを使っている方とファイルをやりとりするときに、どうしても互換性の点で問題があったので、MacWindowsを走らせて、Windows用のOfficeを入れた方が安心です。

一点注意ですが、1台のMacBook AirMacWindowsという2つのOSを走らせることになるので、メモリは大きくしておいた方が無難です。

自分も購入時にメモリを増設し、8GBにしています。Macのメモリ増設に関しては、通常の量販店では購入時の対応が難しいみたいですが、秋葉原にあるソフマップ系列のMac Collection Akibaだとメモリを増設したモデルが売っているので便利ですよ。在庫があれば、その日のうちに持ち帰ることができます。

まだ、使い始めて2ヶ月なので、今後、問題点なども出てくるかもしれません。そんなときは改めてここに記しておくようにしたいと思います。自分がMac BookでWindowsを走らせるのってどうなんだろうかと疑問に思って調べたときにあまり情報がないのが困ったので、メモとして残しておくようにしたいですね。

 

 

*1:Office 365というのは、通常の買い切り型のOfficeではなく、月額制のサービスです。通常の買い切り型の方がお得かなとも思ったのですが、よくよく考えると、買い切り型のOfficeを2年以上使うということはほとんどないので(PCを2年くらい使うとだいたい不具合が出たり、故障したりして買い換えることが多いため)、Office 365を2年使うのと値段がほとんど変わらないということに気づきました。しかも、Office 365 soloの場合、Accessまで使えます。Accessが入っている買い切り型のOfficeを買うとなると、さらに値段が張るので、Office 365の方がお得感があります。

*2:「同時に」使えるというのが仮想ソフトを使うことのポイントです。Macにはもともとブートキャンプという機能があって、それを使えばWindowsを入れられるのですが、この場合、MacWindowsを切り替えて使うときに、いちいちMacを起動し直す必要があります。つまり、ブートキャンプだと、同時にMacWindowsのOSを使うことはできないのです。

2015.02.19

先日発売された九龍ジョーさんの『メモリースティック』を少しずつ味わいながら読んでいます。

それぞれ別の時期に書かれた文章が大きな1つのうねりになっていて、読者である自分は、読み進めるうちに自然と一緒に自分のこの10年のことを追体験していることに気づき、不思議な気持ちになります。

どん詰まりの中にいた2005年からもう10年。弟が居なくなってからもう10年。

この本は、いいことも悪いこともたくさんあったこの10年に想いを馳せる時間を得ることができる正しくメモリースティック。これからもふとしたときに自分の記憶を開くための扉の1つとして手にすることになるんだろうなと予感しています。

もちろん九龍さんが体験してきたことと自分が体験してきたことは全く違うのだけれど(本の中に登場する同じ時間、同じ場所に自分も居たというところはちょこちょこありますが)、なぜかこの本が自分の過ごしてきた時間を追体験するきっかけになるのは、九龍さんと自分が同じ年齢だということも1つの要因なのかもしれないなーなんて、ふと思いました。 

なんだかんだいろいろあるけど、どん詰まりだったあの頃があるから今があるんだと思えているし、「今の時代がいちばんいいよ」とつぶやくこともできる。それって、幸せなことなのかもしれないですね。

 

 

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中古レコード市 in 神保町 2014.12.20

今年の4月ころまで神保町に店舗を構えていた「TURNTABLE TOKYO」と、ネットレコードショップ「オントエンリズムストア」の共同開催で行われた中古レコード市に行ってきました。

 会場は、神保町にひっそりとあるバー「ony's BAR」。ここは、神保町の中でも割りと人通りが少なくて落ち着いた錦華通りからさらに一本入った用事のない人しか通らない通りに、本当にひっそりと佇んでいます。しかも、店が地下にあるため、入りづらいことこの上ないのです。自分は、店の前を通ることが多いので、以前から一度は入ってみようかなと思いつつも、足を運べずに居ました。マンガ好きな方なら、明治大学「米沢嘉博記念図書館」の向かいのビルにあると言えば、店の場所の雰囲気はわかっていただけると思います。 

この日は、レコードにとっては大敵の雨模様でしたが、この日を逃すと、次のレコード市がいつになるかはわかりませんし、ony's BARに足を踏み入れる機会もないと思い、遊びに行くことにしました。15時オープンでぼくが入ったのは16時すぎ。オープンからそれほど時間が経っていないのに、店内にはレコードを掘る人が入れ代わり立ち代わり来ています。雨だし、宣伝もあまりされていないのに、きちんと、お客さんは来るものなのだなと思いつつ、自分もレコード堀りに参加。

ぼくの最近のレコード堀りの中心は、70年代後半から80年代初頭に掛けてのソウル、ディスコ、ダンスクラシックスなのですが、こういうレコード市ではジャンル分けは無粋というもの。とにかく、いろいろな盤の海の中から、自分が気になるものを探していきます。量が多いので、1枚1枚丁寧に見ているわけではないのですが、気になる盤にはパッと目が留まります。不思議なものです。そんな中で、今回購入したのはこちら。

 

▼Diane Tell『Chimeres』600円

カナダのケベックのシンガーの82年の作品。他のアルバムを2枚ほど持っているのですが、一番好きかもしれないです。フランス語で歌われるいい塩梅でソウルフレイバーが漂うAOR。まず、1曲目の「Teu Yeux」だけでも、このアルバムを買って良かったと思いました。リズム隊の感じといい、シンセのコード感とシンコペーションするメロディー。ぼくの好きな感じのサウンドが詰まっています。


Diane Tell - Tes Yeux [HD] - YouTube

 ▼Ennio Morricone『Les Meilleures Bandes Sonores De Ses Films』600円

モリコーネ御大の楽曲を集めたコンピ盤。73年。ジャケットからしたらマカロニものばかりなのかと思いきや、そういうわけではなさそうです。

 ▼Rotary Connection『The Rotary Connection』500円

ミニー・リパートンを擁したグループ「ロータリー・コネクション」の68年の1st。後年のミニーの音楽性を期待して買うと肩透かしを食いますので、ご注意を。サイケフレーバーあふれる音楽で時代の雰囲気を感じさせます。浮遊感あふれるサウンドに載ったはかないメロディーが心を打つ「Memory Band」だけでも聴いてみていただきたいです。

 ▼Clare Fischer & His Latin Jazz Sextet "2+2 Plus"『Free Fall』200円

ジャケットが家族の集合写真のようなお金の掛かっていない感じで何とも残念な感じなのですが、中身はブラジリアン・ジャズ、ラテン・ジャズの系譜の楽曲に巧みなコーラス・ワークが絡んだ完成度の高い作品です。ジャケット的にはなかなか無理そうだけど、中身的には、「ku:nel」とかで採り上げられてもおかしくないような作品な気がしますが、どうでしょう。

 ▼南野陽子はいからさんが通る』(7インチ)100円

言わずと知れたナンノの名曲です。カップリングの「はじめの一歩」がこれまた良いのです。

 ▼GARO『涙はいらない』(7インチ)100円

タイトルとは裏腹に涙がこぼれそうになるガロの名曲。この曲を作った堀内護さんが今年12月9日に逝去されました。追悼の意味も込めて購入。ご冥福をお祈りいたします。

 ▼いんぐりもんぐり『大嫌いっ!』(7インチ)100円

「恋はあせらず」系のリズムで奏でられる浮ついた曲。86年。個人的にはいんぐりもんぐりよりも後のINGRY'Sでの活動の方が記憶にありますね。世代の問題です。

 ▼TM NETWORKSelf Control』1(7インチ)00円

持っていても100円ならば買ってしまう名曲です。友達にあげてもいいですしね。

 ▼異邦人『嗚呼!!花の応援団』(7インチ)100円

どおくまんプロのジャケットが素晴らしいです。ミス花子「河内のオッサンの唄」的なニュアンスを感じるのですが、発売した年も同じ76年なのですね。

 

レコードを買った後は、バーでそのままビールを一本。初めて、TURNTABLE TOKYOの店主さんときちんと話をしました。店舗があったときには、購入時に話しかけることなどもなかったので、不思議な感じですが、すごく良かったですね。オントエンリズムストアの店主さんもとても気さくな方で良かったです。きっと、レコードを買った後に、そのままお酒を飲める環境だったから話をすることができたのかもしれないです。今後も、こういうバーとかで開催されるレコード市が増えてきたら、すごくいいですよね。自分もいつか機会があったら、出店してみたいです。残念ながら、売れるほどのレコードは持ちあわせていませんが・・・。

2014.12.19

数日前に知人の突然の訃報を聞いて、ひどく落ち込んだ気持ちに。素敵な人が亡くなるのは寂しいものですね。生前、具合が悪いということは全く知らなかったので、とまどうばかり。最期にもう一度お会いしたかったなという気持ちを抱えながら、ふと磯部さんの『音楽が終わって人生が始まる』の「生きていかなきゃね」を読み直しました。

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『有害都市』(筒井哲也)のこと

筒井哲也さんの『有害都市』第2話が「となりのヤングジャンプ」で公開中です。

同サイトに書かれたあらすじを引用すると以下のとおりです。

2019年、東京の街ではオリンピックを目前に控え、“浄化作戦”と称した異常な排斥運動が行われ、猥褻なもの、いかがわしいものを排除するべきだという風潮に傾き始めていた。
そんな状況下で、人の屍肉を食べたいという抗し難い欲求にかられる“食屍病”の蔓延を描く作品を発表する一人の漫画家がいた。“表現の自由”を巡る業界震撼の衝撃作!!

作中に別のマンガ作品を登場させ、それに対する表現の自由への規制をテーマにした作品です。これからの展開が非常に気になります。

筒井さんの作品は、個人的に絵が好みだというのもありますが、『マンホール』、『予告犯』、『リセット』、『ダズハント』など刺激的な設定とストーリー展開の作品が多く愛読しています。

『マンホール』に関しては、長崎県有害図書の指定を受けていて、この問題に関して、筒井さんご自身のサイトで詳細に検討、報告されています。有害図書に関しての規制については、90年代初頭の有害コミック規制問題が有名だと思いますが、現在まで、連綿と続いているトピックであることがわかります。

90年代初頭の有害コミック規制問題のときは、ちょうどリアルタイムで青少年(当時中学生でした)として、この問題に直面しました。自分の中でこの問題は表現規制を考えるうえでの原体験となっています。
当時、自分のクラスの男子のほとんどは、遊人さんの『ANGEL』や上村純子さんの『いけない!ルナ先生』を読んでいたと記憶しています。これらの作品が突然連載中止や絶版となったことについては、なぜ、そのような処分になったのかについて、当時の中学生に対して、少なからず衝撃を与えていた問題だと思います。自分も、当時、有害コミック規制問題が扱われた深夜のテレビ番組『プレステージ』まで観ていた記憶があります。

性表現や暴力表現については、このところ、これらの表現に対する規制事例がニュースとして採り上げられる機会が多いような気がしています。表現規制に関して、どのように捉えて行くのかについては、多くの人が対話、議論して考えていく必要があると思います。

レコード日記(仙台) 2014.11.09

松島に行き1泊した後、仙台へ。

仙台には、未訪問のレコード・ライブラリー、パラダイス・レコード、MAILMAN RECORDSなどもあるのですが、時間などの関係で、今回は、前回滞在時間20分だった「Vol.1」に。

http://instagram.com/p/vKx-LpI7EN/

店内に入ると、yumboのライブ音源が流れていました。仙台のレコード店で仙台のバンドの音源を聴けるというのは、なんだか気持ちの良いものですね。

今回は、前回よりもゆっくりと店内をくまなく見ました。この日は、荷物が多かったこともあり、控え目にレコードを1枚購入。

スティール・パン奏者のAndy Narellの81年のアルバム『Stickman』です。

Andy Narellについては、P-VINEから出ている『Colours Of Groove』というコンピの3枚目に入っている「Yoshimbe」ぐらいしか知りませんでしたが、この曲がものすごく素晴らしかったので、気になっていたのです。 

 

Yohimbe

Yohimbe

  • Andy Narell
  • Jazz
  • ¥150

 

カラーズ・オブ・グルーヴ(3)~グリーン・ドルフィン~

カラーズ・オブ・グルーヴ(3)~グリーン・ドルフィン~

  • アーティスト: オムニバス,ボブ・ドロウ,スティーブ・ウルフ&ナンシー・キング,ナネット・ナタル,ヴィンス・アンドリュース,アーン・エバンス&トレードウインデス,ベルト・リゴン,ケント・グレン,アーニー・クリブダ・カルテット,アンディ・ナレル,バディ・リッチ・ビッグ・バンド
  • 出版社/メーカー: サブスタンス
  • 発売日: 2004/04/28
  • メディア: CD
  • クリック: 4回
  • この商品を含むブログ (3件) を見る
 

 『Stickman』には、「Yoshimbe」は入っていないのですが、Hermeto PascoalやEgberto Gismontiという好みの音楽家のカバーが入っているので、迷わずに購入。

編成が、スティール・パン、ギター、ベース、ドラムという珍しいものだったということも購入の動機になりました。スティール・パンについては、鳴っているだけで、気持良くなれる気がします。ベースはエレクトリックのフレットレスだということも、ぼくの好みにバッチリはまっていました。「Yoshimbe」のようなあっけらかんとした明るい楽曲はないですが、その分、クールでエッジの効いたジャズ・ロックが展開されているアルバムで大満足でした。

「Vol.1」を後にして、前回定休日だった「喫茶ホルン」へ。

http://instagram.com/p/vcZhdyo7Md/

コーヒーを飲んでまったりと。

http://instagram.com/p/vK3BQ-I7Iz/

チキンココナッツマサラも。

http://instagram.com/p/vK_kYQI7Em/

コーヒーが380円、カレーが650円という東京ではなかなか考えられない良心的すぎるお値段で至福の時間を過ごさせていただきました。澁谷さんに以前のライブの感想を言うこともできないまま、お会計して店を出ました。こういうところが自分のダメなところ。一緒に関雅晴さんの『日常』を購入。喫茶ホルンでのライブを収めたアルバムです。ジャケットは、喫茶ホルンの店内を写したものです。このアルバムを聴くたびに、今回の仙台行きのことを思い出すことでしょう。今回も良い旅でした。

 

 

 

 

 

 

 

レコード日記(浜松) 2014.03.16

豊橋方面に出張へ行った帰りにレコード店に寄ろうと思いましたが、レコードマップを見ると豊橋にはレコード店が1軒しかなく、しかも、豊橋駅からは少し離れていることが判明。新幹線で1駅の浜松には駅の近くに3軒レコード店があることがわかったので、浜松に行くことにしました。

新幹線に乗ってから浜松のレコード店の1つが日曜定休であることに気づきました。でも、まだ2軒あるから良しとしました。浜松に着いたのが16時45分すぎ。レコードマップによれば「Sky Children」という店の閉店時間が17時30分とのこと。閉店まで30分程度しかないですが、少しでも見られればいいやと思い、急いで店に向かいます。

ところが、店の前にたどりつくと、こんな光景が・・・。

閉店時間より前なのに、すでにシャッターが下りていました。これでは、結局、1軒しかお店を見られないので、豊橋のレコード店に行けば良かったんじゃないかという心の声と戦いながら、次の店「Soul Clap」へ。怪しい雑居ビルのエレベーターに乗り込み、店の前まで来ると、店のドアにはただいま海外に買付にでかけているとの貼紙が・・・。

またもや店がやっていないという悪夢が繰り返されるのかと思いながらも、店内が明るいので、恐る恐るドアを開けてみると、無事営業中。

・・・助かりました。

店内を見回すと「Soul Clap」という名前のとおり、ソウルミュージック中心の品揃え。USの海外買付オリジナル盤中心のお店のようです。エサ箱を見ると、出てくる出てくる名盤の数々。お値段は高くはないが、それなりのお値段。うー、ちゃんとしています。とにかく、ちゃんとしています。とはいえ、きっとお得な盤もあるはずと思って見て行きます。

だいたい店内を見終わって、そこまで安いものはないけど、旅の記念に何か1枚買っていこうかなと思っていたら、お店のお兄さんが、「あ、ここらへんにレコードフェアに出して戻って来た盤があるから、見てくださいね」と封を開けたばかりの段ボール箱4箱ほどを案内してくれました。

これを覗いてみると、お買い得な名盤が出てくる出てくる。そっか、セール品のお得盤はここに眠っていたのか!

ということで、最終的に選んだのがThe Sylvers『Showcase』(840円)、Angela Bofill『Angie』(525円)、Tina Charles『I Love To Love』(525円)、More Joe Harnell『More Bossa Nova Pops』(525円)、Don Ellis『Connection』(1575円)。

お店のお兄さんは海外買付中の店主の代わりにピンチヒッターで店番を頼まれているとのことでしたが、もともと阿佐ヶ谷に住んでいたこともある方で親近感が湧きました。お兄さんによると開いていなかった「スカチル」(地元では「Sky Children」をこう略すとのこと)はかなりいい店なんだそうで、「残念でしたね・・・」となぐさめてくれました。スカチルは年配のオヤジさんが切り盛りしているお店で、客がいないと17時30分の閉店時間よりも前に店を閉めてしまうことが良くあるのだそうです。行く前には電話を一本入れておくべきだったようです。スカチルは次の宿題ということにしておきましょう。

いい買い物が出来たとホクホク顔で鰻も餃子も食べずに新幹線へと乗り込み東京へと戻ります。新幹線が各駅停車の「こだま」であるせいかやたらと時間が掛かりました夕飯を食べずに新幹線に乗ったのは完全に失敗だったと気づきますがあとの祭り。「こだま」には車内販売がないのです。

レコードマップの件も夕飯の件もそうですが、もっと下調べをする必要があるということを旅が終わる頃にやっと気づくのでありました。

ライブ日記@小岩Bush Bash 2014.03.06

睡眠不足がたたったせいか、頭痛のする1日。花粉が飛び始めていることも関係しているのかもしれません。なんとか仕事を切り上げて小岩Bush Bashへ。

即興中心のイベントに来るのは久々な気もしますが、そうでもないかも。

bonstarさんのプレイを間近で見るが手元が早すぎて何をやっているのか全く良くわかりませんでした。それにしてもターンテーブルという制約の多い楽器を自由に使いこなす様を見るのは気持ちが良いです。

トリは高橋さん、塚本さんの元As Meiasコンビの即興。初めて観ましたが素晴らしかったです。高橋さん本人はあまり良くなかったと言っていましたが、HELMET meets HELDONのような肉体性と客観性の合わさった強靭な音楽でした。音源を残して欲しいとも思いますがその気はないとのこと。ぼくはすぐに音源にして欲しいと軽々しく思ってしまうタイプですが、音源に残さないその場限りの音だからこそ儚くて美しいのかもしれませんね。また機会があれば是非観たいです。

それにしても今夜は尋常じゃない寒さ。また雪が降ったら嫌ですね。

2014.03.05

昼に『なんとなく、クリティック2』を購入。サイズが特殊なため、店員さんもカバーをするのに手こずっていました。サイズに合わせて丁寧にカバーをしてくれて非常に嬉しかったです。この本はサイズといい、表紙の質感といい、文字のレイアウトといい、非常に好みで、所有欲をくすぐられます。ここらへんの感覚は電子書籍では味わえないと思います。・・・みたいなことを考える自分は昭和に取り残された人間なのかもしれませんね。ゆったりとしたペースでもいいので、今後も定期的に刊行して行って欲しいです。まずは赤田×森山クイックジャパン対談から読むことにします。

打ち合わせで近くに来たこともあり恵比寿ALで開催されている大友克洋『POSTERS』の展覧会に立ち寄りました。フルサイズのポスターの圧倒的な迫力。実物のパワーを味わいました。当然『POSTERS』も購入。 

POSTERS  -OTOMO KATSUHIRO × GRAPHIC DESIGN

POSTERS -OTOMO KATSUHIRO × GRAPHIC DESIGN

 

 今日の移動中のBGMは銀河鉄道の『ミルキーウェイ』。録音当時、お蔵入りになったのが信じられない傑作です。 

ミルキーウェイ

ミルキーウェイ

 

 

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レコード日記(仙台) 2014.02.10

出張で仙台に行ったので、打合せの前に打合せ場所のすぐ近くにある喫茶ホルンを訪問。月曜日が定休日であることは知っていましたが、せっかくなので場所だけでも確認しておこうと思い立ち寄りました。 

喫茶ホルンは、yumboというバンドのリーダーである澁谷さんが経営するお店です。今年の1月の終わりに、高円寺の円盤で行われた「不明なアーティスト」という企画で澁谷さんの弾き語りを1mくらいの至近距離で観る機会があり、いたく感動しました。そのほんの数日後に、都築響一さんのメルマガ「ROADSIDERS' weekly」で澁谷さんの書いたyumboの歴史に関する長い文章をたまたま読むことに。澁谷さんの文章が載っていた「ROADSIDERS' weekly」は昨年の9月に発行された号でしたが、メールの受信トレイの整理をしているときにたまたま目に留まったものでした(「ROADSIDERS' weekly」はボリュームが非常に多いので忙しいときには読むのを後回しにしてしまうことがあります)。

弾き語りを観たタイミングでたまたま澁谷さんの文章を読み、たまたまその数日後に仙台出張。しかもお店は打合せ場所のすぐそば。これは定休日であっても店の佇まいを目撃する必要があると思いました。次は、必ずコーヒーとカレーを注文しにくることを心に誓い、看板の写真をパシャリ。

 

打合せを終え、東京に戻るまでの間にレコード店を巡る小旅行へ。まずは、打合せ相手のOさんにオススメされた店「Store 15Nov」に。ここは新品中心のお店で、アヴァンギャルド電子音楽エレクトロニカ、現代音楽、サイケ、ジャンクミュージックなどなど、かなり個性的な品ぞろえでした。CDとアナログは半々くらい。面白いものがかなり揃っていましたが、アナログについては新品ということもあって、ちょっと高めの印象です。ここでは、角煮とおにんこのスプリット7インチ『角煮おにんこ』を購入。たぶん高円寺の円盤に行けばまだ手に入ると思いますが、あえて仙台で買うという消費行動がぼくに特別な思い出を残してくれました。

「Store 15Nov」を後にしたぼくは雪道を西南へと進み、「Vol.1」へ。せんだいメディアテーク付近にこの店が出している個性的な電信柱の看板が点在していて、是非行ってみようと思い立ったのでした。

店は、大きなアーケードの商店街の端にあるビルに位置していました。普段は19時まで営業しているようですが、たまたまこの日は18時閉店。入店したのが、17時35分を過ぎた頃だったので、20分程度しか時間がありません。その割に店はかなりの大きさ。アナログ、CDだけでなく、本なども充実しています。しかも、仙台のご当地ものの本なども扱っていて、ゆっくり見たいという衝動に駆られます。お店のイメージとしては、京都に居たときに良く通っていたビーバーレコード(すでに閉店。残念・・・)に似た雰囲気でしょうか。ビーバーレコードに比べると店内はだいぶ整理されていて綺麗ですが。とにかく、時間がないので、サクサクとレコードを見て行きます。こういうときに、特価品のエサ箱から見てしまうのが、ぼくの悲しい性です。 

JEFF BERLIN & VOX HUMANA『CHAMPION』、Gerry Malligan『A Profile Of Gerry Malligan』、Genesis『abacab』、O.S.T.『女と男のいる舗道』(7インチ)、松平健『夜明けまで』(7インチ)、バリー・サドラー軍曹『悲しき戦場』(7インチ)、ビリー・バンバン『さよならをするために』(7インチ)、O.S.T.『もしも、あの世にゆけたら』(MASH)(7インチ)。全部で2000円也。東京のディスクユニオンあたりで見かけたら買わないようなものまで買ってしまいました。「MASH」の7インチなんて、名曲「Suicide Is Painless」の邦題が「もしも、あの世にゆけたら」なんていうナイスなものだったと知ったうれしさだけで衝動的に購入。これぞ小旅行の醍醐味ですね。

「Vol.1」から少し南下して「ジェー&ビー北目町店」へ。これぞ街のレコード店といった佇まいがワクワクさせます。

ところが、入店するといきなり大量のクラシックのコーナーが。クラシックの扱いが多い店は正直ぼくの好みのものが少ないという法則があるのでちょっとだけ警戒。しかも店内のBGMは最近のジャニーズのものと思われるものが大音量で掛かっていて、さらに警戒を強めます。 

まずは、プログレコーナーがないか調べますが、それっぽいものはないので、とりあえず、HR/HMのコーナーを見てみました。それほど数はないし、これといったものは無さそうな雰囲気でしたが、ぼくにとっての心の名盤TNT『INTUITION』が!

これを見つけただけで、仙台でのレコードぶらり旅は成功を収めたと言っても過言ではありません。今までのこの店への警戒心が解かれていきます。『INTUITION』について語り出すと長くなるので、ここでは止めておきますが、これほどメロディの美しい楽曲で占められた盤というのは、なかなかないと思っています。トランザムの『TV映画主題曲集 刑事コロンボ』という地味に欲しかったアナログも手に入れることができました。そして、現在、ぼくがレコード店に行ったら、まずないかを探すアーティストの1つであるTOM★CATの『サマータイムグラフィティ』(7インチ)を発見しました。ジャケットがものすごくダサすぎて、喜びも一塩です。どういうコンセプトで作られたジャケットなのでしょうか。制作秘話を聞きたいという衝動に駆られました。曲はもちろんものすごく素晴らしいです。3枚でしめて1700円。トランザムがちょっと高かったですね。

結局夕飯を食べる時間はなく、新幹線の中で売れ残りの駅弁を食べて済ませてしまいましたが、少ない時間の中でレコード店をコンパクトに巡れたので大満足な小旅行でした。 

『恐るべき遺産 裸の影』@ポレポレ東中野

ポレポレ東中野若松孝二監督の「恐るべき遺産 裸の影」を観て来ました。

1964年の作品で、今回が50年ぶりの上映だとのこと。この映画はフィルムが現存しないと言われていた幻の作品ですが、最近、あるコレクターの方が亡くなり、ご遺族がそのコレクションについてどうするかをフィルムセンターに相談したところ、コレクションの整理の最中に本作品のフィルムが発見されたんだそうです。フィルムはかなり傷んでいたのですが、現存する最後のフィルムだということで、デジタル化され、今回の上映となったそうです。もしも、コレクターのご遺族がフィルムセンターに依頼せずに、フィルムを破棄していたら、この作品は永遠に誰も観られない正しく幻の作品になっていましたね。コレクターのご遺族がきちんとフィルムセンターに管理を依頼されたことに、ただただ感謝、感謝です。

この作品は、原爆症に悩む女子高生を描いた非常に重たい作品です。公開時は、終戦から18年程度しか経っていない時期でしたから、ちょうど主人公と同じように、ご両親の被ばくにより、ご自身も原爆症になった方がたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。若松監督は、このとき28歳。晩年期まで続く「怒り」という若松監督の映画を作る原動力が、この作品にも現れています。
また、腕立て伏せをする女子高生を後ろからのアングルで映し出すなどなど、エロに対する姿勢も若松監督ならでは。この作品は、女子高生が集団でお風呂に入っているシーンではっきりと裸が映し出されているのですが、64年という時代背景もあり、公開時には、一大スキャンダルとなり、かなり物議を醸し出したそうです。
ただ、上映後に行われたトークショーで塚本晋也監督も指摘されてましたが、ピチピチしたお色気シーンと原爆症のシリアスなシーンとの対比が、部活に打ち込んでいた普通の女子高生が直面した悲劇をより深く映し出しているように思います。
 
たまたま、この映画を観た日に、同じく原爆を扱った作品である「はだしのゲン」について、次のようなニュースが話題になりました(下記の引用は中國新聞の記事から)。
 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」の描写が過激であるとして、松江市教委が昨年12月、市内の小中学校に学校図書館での子どもの閲覧を制限し、貸し出しもやめるよう要請していたことが16日、分かった。出版物の表現の自由に行政が介入する異例の事態といえ、議論を呼びそうだ。
 「はだしのゲン」は、昨年12月に亡くなった広島市出身の漫画家中沢啓治さんの代表作。松江市教委が「子どもの発達上、悪影響を及ぼす」と判断したのは、汐文社(東京)発行の「はだしのゲン愛蔵版」1~10巻のうち、後半の6~10巻。中国大陸での旧日本軍の行動を描いたシーンでは、中国人女性の首を切ったり性的暴行を加えたりする場面があった。
 市教委によると、昨年12月に小学校全35校、中学校全17校を対象に開いた校長会で、本棚に置かず倉庫に収める「閉架」とするよう口頭で求めた。同時に、貸し出しもしないよう伝えた。作品を所有する各校は要請を受け入れ、閲覧を制限しているという。

はだしのゲン」には、たしかに残酷なシーンがあると思います。ただ、その残酷なシーンは、戦争や原爆によって引き起こされた悲劇を描くうえで必然性のある描写なのではないでしょうか。仮に必然性のあまりない描写であったとしても、「はだしのゲン」の作品の一部の表現の問題性を理由に閉架措置を採ることは行きすぎなのではないでしょうか。

ぼくも「はだしのゲン」は、小学生の頃に児童文庫みたいなところで借りて読んだクチですが、子供の頃にあの作品に触れることができたのは、たいへん貴重な経験であったと思います。無料で借りることのできる機会がなければ、小学生の頃に「はだしのゲン」に触れることはできなかったでしょう(話はそれますが、ぼくが小さい頃には、夏になると戦争や原爆についての悲惨さを描いた映画の無料上映が良く行われていて、ぼくも良く観に行っていました。ああいう機会は今でもあるのでしょうかね)。

 今回の「はだしのゲン」についての松江市教委のような考え方に立てば、この映画も女子高生の入浴シーンがあるからと、公開を制限されかねないかもしれません。果たして、それでいいのでしょうか。ふとそんなことも考えながら、この映画を観ていました。
 
あと、この映画では、主人公が土門拳さんの「ヒロシマ」という写真集を見るシーンが主人公の苦悩を映す重要なシーンになっているのですが、そのときに流れるアヴァンギャルドな音楽が主人公の女の子の心理描写をうまく表していて秀逸でした。観客に対して広島で起こった現実の悲惨さを突き付けてくるシーンだなと思います。ちょうど、土門拳さんの「ヒロシマ」の写真展土門拳記念館で開催されているようです。とても観たいですが、山形なので、ちょっと行けそうにないです。
 
なお、今回の若松監督の「恐るべき遺産 裸の影」は下北沢トリウッドでも上映されています。貴重な機会だと思いますので、お時間がある方は、観に行かれてはいかがでしょうか。

Jコミで『混血児リカ』が全巻無料公開されている件

漫画家の赤松健さんが運営されているサイト「Jコミ」凡天太郎さんの『混血児リカ』が全巻無料公開されているということを知りました。凡天太郎さんは、少女漫画家、劇画家という顔を持つと共に、彫り師として有名で和彫りの変革者としての顔を持っている方だそうです。

ぼくが凡天太郎さんの劇画作品に触れたのは、つい最近のことで、凡天劇画会から発行されている各種の復刻劇画で目にしたのが最初です。

代表作の1つである『混血児リカ』については、総集編みたいなものが単行本として出たことはあるみたいですが、作品全部が単行本化されたことはなく、当時、雑誌で目を通していたファンの方でも、その後はずっと目を通すことができなかった作品です。そんな作品が、すべて電子書籍化され、しかも、無料で公開されているというのは、本当に素晴らしいことです。しかも、修正などを掛けず、発表時とほとんど同じ状態で発行しているというのには感嘆してしまいます。

いろいろな事情から、簡単に触れることができなかった作品が、電子書籍化され、すぐにアクセスできるということで、電子書籍というものに対する可能性をすごく感じた一件でした。どちらかというと紙の本の方が、質感等も含めて好きですが、電子書籍も積極的に利用して行きたいと思います。特に、漫画や劇画については、電子書籍との親和性が高いのではないかなと感じています(文章だけの場合だとどうしてもまだ紙の方が読みやすく感じてしまいます。ここはデバイスの問題なのかもしれませんが・・・)。

ちなみに、『混血児リカ』は、新藤兼人さん脚本で3本映画化されています。そのうち最初の2本は、中平康さんが監督で、ぼくも中平康作品の特集上映で第1作目を観たことがあります。『混血児リカ』については、内容が非常に過激であることや、いわゆる差別的な表現も含むことから、単行本化も映画のソフト化(ちなみにアメリカではDVD化されています)もずっと行われていませんでした。また、中平康特集とかで、劇場で上映されたら嬉しいんですが~。

建築と音楽 ~エレクトロニカ以降の転換期をこえて~

美学校主催の「建築と音楽~エレクトロニカ以降の転換期をこえて~」というシンポジウムに行ってきました。

 

登壇者は、音楽家の小野寺唯さん、蓮沼執太さん、内田学さん、建築家の藤村龍至さん。建築と音楽に関しては、それぞれについて、自分の仕事でも関わりのあるところではあるのですが、両者をテーマにしたシンポジウムはあるようでいて、あまりない気がするので、わくわくしながら、聴講しに行きました。

 

まずは、小野寺さんから今回のシンポを開催するきっかけとなった「Vernacular」というコンピレーションについての紹介。Vernacularというのは、土着性という意味なんだそうですが、音楽と建築、それぞれについての土着性というものを探るというテーマで今回のシンポを開かれることになったそうです。

 

その後、蓮沼さんからは環境学のフィールドワークから音楽制作にたどり着く経緯の話、内田さんからは「枯山水サラウンディング」での試み、藤村さんからは大学や自治体を巻き込んで行われる集合知というプロセスをたどった建築の可能性の話などを伺うことができました。 

ぼくが蓮沼さんの音楽を聴き始めたのは 「POP OOGA」が発売された頃からなのですが、蓮沼さんのお話からは、「POP OOGA」よりも前の蓮沼さんのキャリアについて伺うことができて興味深かったです。あと、ライブ会場での音響、音像の話も面白かったです。

内田さんのお話からは、「八水響」「五水響」といったプロジェクトの話を伺うことができました。寡聞にしてこのようなプロジェクトについて知らなかったのですが、場の環境音楽としての機能に特化した試みにはすごく惹かれました。現地に行ってみたいなと思います。

 藤村さんのお話でなるほどと思ったのは、藤村さんが設計を行っていくときに自ら課している3つの原則(1.ジャンプしない、2.枝分かれしない、3.後戻りしない)です。藤村さんは、設計を行う際に、最初にあるモデルを作り、法律の問題、費用の問題、施主の意見といった1つ1つの問題を解決しながら、どんどんモデルを変化させていって、模型を仕上げ、設計をしていくそうです。そのときに、各問題をまとめて片付けるのではなく、1つの問題を解決する形の模型をその都度作っていくのだそうです(1.ジャンプしない)。そして、1つの問題を解決する際に作り出すデザインは1個にしているそうです(2.枝分かれしない)。設計をしていくことは、いろいろな可能性のうちのどれにするかを決めるという意思決定のプロセスであることから、1つの問題を解決するということは、1つの意思決定をするということなのでしょうね。おそらく、このときに、藤村さんは施主を初めとする関係者の方にきちんと意思確認をしながら、意思決定していくのだと思います。自分は、良く建築家と施主との間のトラブルについての解決を依頼されることがあるのですが、藤村さんのように、その都度、施主の意思確認を経ながら、細かいプロセスを経ながら問題解決をしていくことは、トラブルを未然に防ぐうえでも効果的なような気がしますね。そして、一度行った意思決定については、それを元に戻すということはしないのだそうです(3.後戻りしない)。

 

その後の質疑応答の中で、サウンドスケープの話になったのですが、都市計画としての建築に街の音作りを導入できないかという視点は面白かったです。

あと、質問者の方が、渋谷の街の雑踏を通り抜けて、オーチャードホールにクラシックを聴きに行くのはあまり気分が良くないというような趣旨の発言をされていたのですが、そういうふうに考える人もいるのか、なるほどなと思いました。クラシックを聴きに会場に向かう過程でも穏やかな音響の中に身を置きたいということなのでしょう。

自分としては、この価値観には、あまり共感はできませんでした。もちろん、住宅街のような場所であれば、静かな音響を求めるというのは理解できますが、渋谷のようなある種、猥雑であることを宿命づけられた繁華街の音響についてまで、ある価値観に則ってコントロールしようという考え方は、あまり気持ちの良いものではないように思いました。もちろん、それぞれ別に鳴らされる街の音それぞれの干渉をコントロールすることで、それぞれの音をきちんと別個のものとして聴ける形にすることはいいことなのかなとは思いますが。それを越えて、都市計画の一環としてサウンドスケープを”過剰に”コントロールしすぎることは、街に流れる多様な価値観を失わせ、均質化させていくものといえ、あまり面白いものではないように思いました。また、騒音問題等を抱えるクラブを排除していこうという動きにも相通じうる考え方のようにも感じます。ここは、開沼博さんが記した「漂白される社会」に取り上げられた各種問題と根底で共通しているような気もします。 

 

イベントの趣旨とは、話が少しずれてしまいましたが、建築と音楽、土着性というキーワードから、 都市計画やサウンドスケープの話まで、いろいろ考えさせていただける機会を持てたことは、自分としてもすごく勉強になりました。第2回があるのであれば、是非、また参加したいです。

あと、小野寺さんが最後におっしゃっていた建物を建てるというプロセスの中にあらかじめ音楽家が関わって行くのも面白いのではないかというのは、すごく共感しました。自分としても、建築の専門家だけではなく、他の問題の専門家も建築というプロセスにコミットしていくことで、面白いものができたり、将来想起されるトラブルを未然に防いだりすることもできるのではないかと思いました。特に自分の場合は、建築家と施主の意思疎通がうまくいかなくなった段階で相談を受けることが多いので、その前にコミットできる仕組みがあればいいなと考えることがあるんですよね。どういうアプローチをすれば良いのか、まだわからないのですが。自分の課題として考えていきたいと思います。

同じことを続けること

ついに片想いのアルバムが出ますね。

片想いの特設サイトの東京の演奏さんのコメントを見ていて、泣きそうになりました。

お客さんが全然いないようなライブもたくさん経たはずなのに、あの人たちがなぜか片想いを続けてたってところは、不思議だし、なんか大事なトコなんじゃないかと思うんです。

僕がとんちれこーど周辺の音楽が好きになって、ちょくちょくライブに行き出すようになったのが2年前の夏くらいのこと。そのずっと前から、片想いはずっと同じように面白くて、楽しい音楽を続けていて、今後も同じように歩み続けて行くのでしょう。全部を観ることはできないけど、その一部を観ることができる僕は、きっと、しあわせものなんだなと思います。

 

自分の話に引き寄せちゃって、すみませんが、自分もバンドをやっているんです。お客さんも全然来てくれないようなバンドですけど、でも、続けているんです。もちろん、単純に演奏しているのが楽しいからですが。あと、多くの人に届くようになることは、きっとないと思いますけど、学生時代の自分のように、いろいろとこじらせている若者が、いつか発見してくれたら、嬉しいなと思って、続けています(他のメンバーが続けてる理由は違うと思いますけど)。誰かが、10年後、20年後に、どこかの中古盤屋の片隅で、僕らの音源を発見してくれるかもしれないと思うと、どんなに売れなくたって、音源を残しておきたいなと思ってしまいます。

片想いのサイトを見ていて、自分がバンドを続けている理由を再確認しました。

 

それにしても、来週には、ついに片想いの名曲を通勤中でも聴くことができるようになる、そう考えると、まだまだ死ねないなと思いますね。

ぼくには聴きたい音楽がまだまだたくさんある!